アルベール・カミュ / Albert Camus

私と同じ様に、より穏やかな炎を、小休止を、考えるための休息を欲しがる人もいるだろう。だが、芸術家にとっては、激しい戦場の場ほど平和な場所はないかもしれない。「すべての壁はドアである」というエマソンの言葉は正しい。ドアを、つまり出口を探すことはやめよう。実はわれわれが生活する中で、壁と思われているものにこそドアが、出口があるのだ。その代わり、休息を見いだそう___戦いの真っただ中に。なぜなら私の考えでは、闘争の中にこそ休息があるからだ。昔から言われてきたが、すばらしい考えは鳩のように穏やかにこの世にやってくる。注意深く耳を傾けていれば、帝国や国々のたてる轟音の中でも、翼のかすかな羽ばたきや、生命や希望をかきたてる柔らかな音を聞き取れるだろう。この希望は国家にあると言う人もいるだろうし、人間にあると言う人もいるであろう。私は、未開拓の地を切り拓いたり、歴史に多大な影響を与えたりする仕事とは無縁の何百万と言う孤独な人々によって、希望が呼び起こされ、よみがえらされ、育まれているのだと思う。その結果、誰もがそれぞれ自分の苦しみや喜びを土台にして、自分自身を築くという真実によって、一瞬の輝きを見せている。
「危険なほど創造力を働かせよ(最終パラグラフ)」より


昨日Twitterで”米田メモリ”した「すべての壁はドアである」のもと文章。
”グッッ”と胸ぐらを両手で、つかまれたような感覚。
昨夜はこの文章で興奮してしまった様で、横になってもしばらく眠りにはつけなかった・・・(笑)

y.