村上が考える「作家の仕事」



だが、村上が作品中の幻想的な描写の意味を解説してくれることを、期待してはいけない。

彼は自分の潜在意識をとことん信じる。もし、あるイメージが心のなかの暗い井戸の底から浮かび上がったなら、それは本質的に意味があるはずだと彼は考える。

そして自分の仕事は、浮かび上がったものを「記録」することであり、「分析」することではないのだという。(村上は、分析するのは「頭の良い人たち」の仕事で、「作家は頭が良い必要はないのです」と顔にシワを寄せて微笑みながら話す。)